大学職員への転職を考えている方から、
「民間企業の経験は評価されますか?」
「入職後に気を付けることはありますか?」
という質問をよくいただきます。
私は私立大学で採用業務に携わっていますが、中途採用者は毎年多く入職しています。
そして、長く活躍する方には共通点があります。
一方で、
能力が高いにもかかわらず、大学文化になじめず苦労する方もいます。
大学は民間企業とは組織文化や意思決定の方法が大きく異なります。
今回は採用担当経験者の立場から、中途採用者がやってしまいがちなNG行動を10個紹介します。
大学職員は「会社員」ではなく「大学共同体」の一員
まず知っておいていただきたいことがあります。
大学は営利企業ではありません。
教育・研究・社会貢献を目的とした組織です。
そのため、
スピードだけではなく、
合意形成
教員との信頼関係
学生への配慮
が非常に重視されます。
この文化を理解することが最初のポイントです。
NG① 「民間企業ではこうでした」が口癖になる
採用担当として最もよく見るNG行動です。
会議のたびに、
「前職ではこうでした。」
「普通の会社ならそうしません。」
「民間企業ならもっと早いです。」
と言ってしまう方がいます。
本人に悪気はありません。
しかし周囲からは、
「大学文化を理解しようとしていない」
と受け取られてしまいます。
改善提案をする場合でも、
「この方法も検討できると思います。」
という伝え方の方が受け入れられます。
NG② 教授を会社の部長と同じ感覚で考える
大学では教員と職員は役割が異なります。
教授は研究者であり教育者です。
企業の上司・部下とは違う関係性があります。
専門性を尊重しながら支援する姿勢が重要です。
信頼関係を築くことが仕事を進める近道になります。
NG③ 改革を急ぎすぎる
民間企業では、
すぐ改善
すぐ変更
すぐ実行
という文化があります。
しかし大学では、
教授会
委員会
学部
法人
など多くの合意形成が必要になります。
最初から改革を急ぎすぎると、
周囲との温度差が生まれてしまいます。
まずは大学の文化を理解することが大切です。
NG④ テレワークを優先して大学に顔を出さない
最近は大学でもテレワークを導入するところが増えています。
しかし、
大学職員の仕事は人との信頼関係が非常に重要です。
教員から相談を受けたり、
学生と雑談したり、
他部署と情報交換したり、
キャンパスで得られる情報は非常に多くあります。
採用担当として感じるのは、
早く成長する人ほど大学によく顔を出しています。
制度があるから利用するのではなく、
まずは人間関係を築くことを優先した方が結果的に評価も高くなります。
NG⑤ 前職の成功体験だけで判断する
民間企業で成功した方法が、
大学でも成功するとは限りません。
大学には、
歴史
伝統
教育理念
学生への配慮
があります。
まずは、
「なぜ現在の運用になっているのか」
を理解してから改善提案をする方が信頼されます。
NG⑥ 人間関係を軽視する
大学は部署異動がありながら長く働く職場です。
10年後も20年後も一緒に働く可能性があります。
そのため、
短期的な成果よりも、
信頼関係を築く能力が評価されます。
採用担当として見ても、
周囲から相談される人ほど昇進していく傾向があります。
NG⑦ 学内ネットワークを作らない
優秀な大学職員は、
所属部署だけではなく、
教務
学生支援
入試
人事
財務
情報システム
など幅広い部署とつながっています。
困ったときに相談できる人が多いほど仕事はスムーズになります。
最初の1年間は積極的に人脈を作ることをおすすめします。
NG⑧ 大学を「安定企業」とだけ考える
大学は安定しているイメージがあります。
しかし、
少子化
大学改革
DX
国際化
研究支援
など変化は非常に大きくなっています。
変化を前向きに受け入れ、
学び続ける姿勢が必要です。
NG⑨ 学生対応を軽く考える
大学職員の仕事は学生対応が中心になる部署もあります。
学生にとっては、
職員の対応が大学の印象そのものになります。
丁寧な対応
親身な相談
迅速な案内
これらが大学の価値につながっています。
学生目線を忘れないことが重要です。
NG⑩ 大学文化を学ぼうとしない
採用担当として最後にお伝えしたいことがあります。
長く活躍する中途採用者は、
必ずと言っていいほど大学文化を学んでいます。
教授会とは何か。
学校法人とは何か。
私学助成金とは何か。
中教審答申では何が議論されているのか。
こうしたことに興味を持つ人ほど、
大学職員として大きく成長しています。
採用担当経験者として感じること
私はこれまで多くの中途採用者を見てきました。
その中で活躍している方に共通するのは、
「民間企業の経験を押し付けない」
ということです。
民間企業で培った経験は大きな武器になります。
しかし、
大学の文化を理解し、
その上で改善提案ができる人は非常に高く評価されます。
逆に、
「民間企業ではこうだった」
という発言を繰り返す方は、周囲から距離を置かれ、結果的に活躍できないケースが少なくありません。
まとめ
大学職員は中途採用者が活躍できる職場です。
しかし、
- 「民間企業ではこうだった」と言い続ける
- 教授を会社員感覚で考える
- 改革を急ぎすぎる
- テレワークを優先して大学に顔を出さない
- 前職の成功体験だけで判断する
- 人間関係を軽視する
- 学内ネットワークを作らない
- 安定だけを求める
- 学生対応を軽く考える
- 大学文化を学ぼうとしない
これらは成長を妨げる原因になります。
採用担当経験者として感じるのは、
大学文化を尊重しながら、民間企業で培った経験を生かせる人が最も活躍しているということです。
大学職員への転職を成功させるためには、「変える人」ではなく、「理解した上でより良くする人」を目指すことをおすすめします。
