大学職員として長年働いていると、

「大学職員に向いている人はどんな人ですか?」

という質問を受けることがあります。

その際、私はよくこんな話をします。

「会社員はお金、公務員は法律、大学職員は人」

もちろん少し極端な表現ですが、本質をよく表している言葉だと思います。

企業では利益を生み出すことが重要です。

公務員は法令や制度に基づいて行政サービスを提供します。

一方で大学職員はどうでしょうか。

大学には、

  • 学生
  • 教員
  • 職員
  • 保護者
  • 卒業生
  • 企業
  • 地域住民

など、実に多くの人々が集まっています。

私は大学を、

「人の交差点」

だと思っています。

そして大学職員の仕事とは、その交差点を円滑に機能させる仕事なのです。

会社員はお金、公務員は法律、大学職員は人

もちろん企業にも人はいますし、公務員も人を相手に仕事をしています。

しかし組織の評価軸を考えると、それぞれ特徴があります。

企業では、

  • 売上
  • 利益
  • シェア
  • 成果

など数字による評価が重視されます。

営業職であれば特に分かりやすいでしょう。

数字が評価基準になります。

一方、公務員は法律や条例に基づいて業務を行います。

制度に従って公平に行政サービスを提供することが求められます。

では大学職員はどうでしょうか。

大学にも予算があります。

規程もあります。

しかし大学運営の本質は、

「人と人との関係性」

にあります。

大学は人の交差点

大学には本当にさまざまな人がいます。

18歳の新入生。

卒業を控えた4年生。

研究に情熱を注ぐ教授。

事務を支える職員。

心配する保護者。

採用を希望する企業。

寄付を行う卒業生。

それぞれ立場も考え方も異なります。

大学職員はその全員と関わる可能性があります。

例えば学生窓口では、

履修相談

奨学金相談

進路相談

生活相談

など様々な相談が寄せられます。

人事部門であれば、

教員

職員

派遣スタッフ

業務委託先

などとの調整が発生します。

どの部署であっても、

結局は人との関わりが中心になるのです。

人はマニュアル通りに動かない

大学職員の仕事が難しい理由もここにあります。

システムであればマニュアルがあります。

会計処理にもルールがあります。

しかし人は違います。

同じ説明をしても、

納得する人もいれば、

納得しない人もいます。

同じ制度であっても、

受け取り方は人によって異なります。

だからこそ大学職員には、

柔軟な対応力が求められます。

コミュニケーション能力とは話が上手なことではない

面接でもよく、

「コミュニケーション能力があります」

という自己PRを見かけます。

しかし大学職員に必要なコミュニケーション能力とは、

話が上手なことではありません。

むしろ、

相手の話を理解する力

相手の立場を想像する力

相手の意図を正しく把握する力

の方が重要です。

大学には多様な価値観があります。

学生の考え方と教員の考え方が異なることもあります。

職員同士でも意見が分かれることがあります。

そんな時に必要なのは、

自分の意見を押し通す力ではなく、

双方の考えを整理し、

合意点を探す力です。

大学職員は調整のプロである

私は大学職員の仕事を一言で表すなら、

「調整業」

だと思っています。

例えば新しい制度を導入する場合でも、

教員

職員

学生

関係部署

それぞれの意見があります。

全員が100%満足する答えはほとんどありません。

だからこそ、

現実的な落としどころを探すことが重要になります。

大学職員は日々そのような調整を行っています。

学生対応に正解はない

学生対応も同じです。

大学職員になれば、

様々な相談を受けます。

学業の悩み

経済的な悩み

進路の悩み

人間関係の悩み

しかし、

マニュアルだけで解決できる相談は多くありません。

時には制度を説明し、

時には話を聞き、

時には他部署につなぐ。

その場その場で最適な対応を考える必要があります。

だからこそ大学職員の仕事は難しく、同時にやりがいもあるのです。

私が考える良い大学職員

人事担当として多くの職員を見てきました。

その中で活躍している職員には共通点があります。

それは、

人に興味を持っていることです。

学生に興味がある。

教員に興味がある。

同僚に興味がある。

相手を理解しようとする姿勢があります。

逆に、

制度や規程だけで仕事を進めようとすると、

どこかで壁にぶつかります。

大学は人の集まりだからです。

これからの大学職員に求められるもの

少子化が進み、

大学を取り巻く環境は大きく変化しています。

DX推進

国際化

学生支援の高度化

産学連携

求められる役割は増えています。

しかしどれだけ時代が変わっても、

大学の中心にいるのは人です。

AIが発達しても、

学生の悩みを聞くこと。

教員と議論すること。

組織をまとめること。

これらは人にしかできません。

だからこそ私は、

大学職員の評価の尺度は「人」だと思っています。

まとめ

会社員はお金。

公務員は法律。

大学職員は人。

もちろん単純化し過ぎた表現かもしれません。

しかし大学職員という仕事の本質をよく表している言葉だと思います。

大学は学生、教員、職員、保護者、企業、地域社会など、様々な人が集まる場所です。

まさに「人の交差点」です。

そして大学職員の仕事とは、その交差点を支え、人と人をつなぎ、より良い教育・研究環境をつくることです。

人は難しい。

だからこそ面白い。

それが大学職員という仕事の最大の魅力ではないでしょうか。